遺言書の種類と選び方｜自筆・公正証書・秘密遺言の違いを徹底解説
人生の最期に向けて「自分の思いを形にして残したい」と考える方が増えています。
そのための手段が「遺言書」です。
しかし、ひと口に遺言書といっても 「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」 の3種類があり、それぞれに特徴や注意点があります。
この記事では、3つの遺言書の違いと、どんな人にどの形式がおすすめなのかを分かりやすく解説します。
1. 遺言書の3つの種類とは？
（1）自筆証書遺言（じひつしょうしょいごん）
自筆証書遺言は、遺言者が自分で全文・日付・署名を書き、押印する形式の遺言です。
メリット
- 費用がかからない
- いつでも作成・修正できる
- 内容を他人に知られずに作成できる
デメリット
- 書き方に不備があると無効になる可能性
- 紛失や改ざんのリスク
- 死後に家庭裁判所での「検認」が必要
補足
2019年の民法改正により、法務局での保管制度が利用できるようになりました。これを使えば、紛失や改ざんのリスクを防げ、検認も不要になります。
（2）公正証書遺言（こうせいしょうしょいごん）
公正証書遺言は、公証人が作成をサポートし、公証役場で正式に作成する遺言です。
メリット
- 法的に最も確実で、無効になるリスクが低い
- 原本が公証役場で保管されるため、紛失の心配がない
- 検認手続きが不要
デメリット
- 公証人の手数料がかかる（数万円～）
- 内容を公証人・証人2名に知られる
向いている人
- 財産が多い・複雑な相続を予定している
- 相続人間のトラブルを防ぎたい
- 確実性を重視したい
（3）秘密証書遺言（ひみつしょうしょいごん）
秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま、公証人に「遺言書を作成した」という事実を証明してもらう方法です。
メリット
- 内容を誰にも知られずに作成できる
- 公証人が存在を証明してくれるため、一定の信頼性がある
デメリット
- 書き方に不備があると無効になる
- 保管は自己責任（紛失・改ざんの恐れ）
- 検認手続きが必要
向いている人
- 内容を絶対に秘密にしたい人
- 法的な形式を保ちながら、自分で遺言を作りたい人
2. 遺言書の選び方｜あなたに合うのはどれ？
| タイプ | 費用 | 確実性 | 秘密性 | 検認の要否 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 無料 | △ | ◎ | 要（※保管制度利用時は不要） | 手軽に書きたい人 |
| 公正証書遺言 | 数万円 | ◎ | △ | 不要 | 確実に残したい人 |
| 秘密証書遺言 | 数千円～ | △ | ◎ | 要 | 内容を秘密にしたい人 |
3. まとめ｜「確実性」か「手軽さ」かで選ぼう
遺言書は、一度作って終わりではありません。
時間が経つにつれて財産や家族の状況が変わることもあるため、定期的に見直すことが大切です。
- 手軽に作りたいなら → 自筆証書遺言（＋法務局保管）
- 法的な確実性を重視するなら → 公正証書遺言
- 内容を秘密にしたいなら → 秘密証書遺言
自分の思いを確実に伝えるために、どの形式が最適かを考え、専門家（弁護士・行政書士・司法書士）に相談するのもおすすめです。
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